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「資本金の額の減少及び剰余金の処分に関するお知らせ」の意図は!?

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2024/8/22、私が投資している5884 クラダシから、「資本金の額の減少及び剰余金の処分に関するお知らせ」のIRが出ました。

資本金の額の減少及び剰余金の処分に関するお知らせ

ふむふむ。資本金を1,000万円に減らすらしい。

ふくろう
ふくろう

えっ上場企業が資本金を1,000万円に減資?

と思う方も多いでしょう。

ちょっと考えてみましょう。

この記事を書いた人

放射線科医ふくろう(@tk2cafe)

・2年目ブロガー。Twitterフォロワー数20,500人以上

・医師13年目。放射線科診断専門医・医学博士。

・2020年からTwitterで株について発信。投資成績は2020年 +181.5%、2021年 +46.5%、2022年 -16.3%、2023年 +188.9%(税引前。税引後は+151.7%)、2024/7/22現在+40.2%(税引後)。

・不動産賃貸業14年目(区分マンションから小規模ビル・工場まで)

・年50万円を目標にポイ活を実践中

「資本金の額の減少及び剰余金の処分に関するお知らせ」の概要

原文はこちらです。
資本金の額の減少及び剰余金の処分に関するお知らせ

  1. 目的
    2024年6月末時点で生じている繰越利益剰余金の欠損(189,120,328円)を解消し、資本構成の是正と将来の資本政策の柔軟性を確保することを目的とする。
  2. 資本金の減少
    資本金を311,591,312円から10,000,000円に減少させ、その減少額(301,591,312円)をその他資本剰余金に振り替える予定。
  3. 剰余金の処分
    その他資本剰余金のうち189,120,328円を繰越利益剰余金に振り替え、欠損を解消する。
  4. スケジュール
    • 取締役会決議日:2024年8月22日
    • 債権者異議申述公告日:2024年8月26日(予定)
    • 株主総会決議日:2024年9月25日(予定)
    • 効力発生日:2024年9月30日(予定)

この処理は貸借対照表上の純資産額には影響を与えず、会社の業績にも影響がないことが明記されている。

クラダシが資本金を1,000万円に減らすことのメリット

資料に書いてある「2024年6月末時点で生じている繰越利益剰余金の欠損(189,120,328円)を解消し、資本構成の是正と将来の資本政策の柔軟性を確保すること」の先に何があるのか、一般的なメリットを調べて想像しました。

繰越利益剰余金の欠損を解消

資本金を減少させ、資本剰余金・利益剰余金に振り替えて利益剰余金の欠損を解消することで、財務状況を改善し、企業の信頼性を高める効果が期待できます。

クラダシ 2024年6月期 決算短信(単位:千円)

クラダシの利益剰余金はマイナス189,120千円(1億8,912万円)なので、資本金からの振替により利益剰余金のマイナスを0にまで持ってくることができます。

税制面のメリット

日本の税制では、資本金が大きいほど税負担が増えることがあります。

例えば、法人住民税や事業税の資本金割など、資本金の規模に応じた税負担が発生するため、資本金を抑えることでこれらの税負担を軽減することができます。
税制面のメリットは色々とあるので、項目を分けて解説します。

資本金規模に応じた商標権・特許権の優遇措置

資本金が小さい企業には、商標権や特許権の取得・維持に関して費用が軽減されるケースがあります。
例えば、中小企業向けに商標登録費用や特許出願費用が割引される制度が存在する場合があります。資本金が1,000万円以下であることで、こうした知的財産権のコストを抑えることができます。
ただ、これはクラダシで該当するのか私には分かりません。

各種助成金・補助金の対象になりやすい

資本金を1,000万円に下げることで、各種の補助金や助成金の対象となる場合があります。

ぱっと思い付くのは(ChatGPT先生が←)これくらいですかね。
この中で一番インパクトがありそうなのは、税制面のメリットでしょうか。次の項目で深堀りしましょう。

資本金を1,000万円にする税制面のメリット

法人税の軽減

資本金が1億円以下の場合、以下のように法人税率が軽減されます。

  • 資本金1億円以下の法人(中小法人): 所得800万円以下の部分に対して 15%
  • 資本金1億円超の法人: 一律 23.2%

これは、純粋に税金が減りますね。
800万円に対して、差の8.3%分だから、年66.4万円。私なら嬉しいけど、上場企業にとっては微々たる金額かな~

法人住民税の均等割

法人住民税の均等割は、資本金と従業員数に基づいて決定されます。例として、東京都の場合を示します。

kintou_zeiritu.pdf (tokyo.lg.jp)

クラダシの従業員数は、会社四季報では42名でした。

  • 資本金1,000万円以下 かつ 従業員50人以下の場合: 年額 7万円
  • 資本金1億円超〜10億円以下 かつ 重要員50人以下の場合: 年額 29万円

うーん。安くはなりますが年額22万円。上場企業としては大したことのない金額ですね。ただ、安いにこしたことはないのでよいことです。

法人住民税の所得割

法人税割の税率が、超過税率から標準税率に軽減される可能性があります。
例えば東京都では、資本金1億円以下で、かつ法人税額年1,000万円以下の法人は、税率10.4%→7.0%に減税されるそうです(~2025/9/30)。

これはまあまあ大きそうです。

法人事業税(外形標準課税→標準課税)

法人事業税には、法人の業種によって付加価値割・資本割・所得割・収入割の4種類があります。
法人事業税については一定の規模以上の法人に対してのみ課される税割があり、付加価値割と資本割です。この付加価値割と資本割をまとめて「外形標準課税」といいます。

普通法人では、法人事業税のうち所得割(+付加価値割+資本割)を支払う必要があり、このうち付加価値割・資本割は原則として資本金の額が1億円超の法人のみ支払います。

ふくろう
ふくろう

つまり、資本金が1億円超から1,000万円に減るクラダシは、付加価値割と資本割を支払わなくてよくなる。

ただし、外形標準課税→標準課税にすると、所得割が大きく増えてしまいます。

付加価値割・資本割、所得割の課税%をまとめた表を、総務省のサイトから引用しました(総務省|地方税制度|法人事業税 (soumu.go.jp)から表の一部を抜粋)。

億ふく
億ふく

資本金が1億円以下になると、付加価値割・資本割は支払わなくてよくなるけど、所得割はずいぶん増えるね!!

なので、外形標準課税から標準課税に変更されたからと言って、必ず法人事業税が減るわけではないのです。
一般的には減ることが多いと言われていますが、クラダシが減るかどうかは私には分かりません。

中小企業向けの欠損金の繰越控除・繰戻還付の適用

・欠損金の繰越控除
欠損金(赤字)は、将来の所得から控除することができます。通常、欠損金は10年間にわたって繰り越すことができ、将来の利益が出た年度の課税所得から控除することで、税金を減らすことが可能です。
控除できる繰越欠損金の金額は、資本金1億円以下の場合はその全額(100%)が使用可能ですが、資本金1億円を超える場合には、基本的には当期の所得金額の50%が上限となります。

・欠損金の繰戻還付
欠損金が発生した場合、過去に遡って利益があった年に対して、その欠損金を適用し、過去に支払った法人税の一部を還付してもらう制度です。これを「繰戻還付」と呼びます。
欠損金の繰り戻し還付は、資本金の額が1億円以下の法人などの中小企業等のみが利用可能な制度となっています。

交際費課税の特例の適用

資本金を1億円以下に抑えることで得られる税制優遇措置です。
年間800万円までの交際費が損金算入されることで、企業の交際費支出に対する税負担が軽減されます。

中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制の適用

・中小企業経営強化税制
資本金が1億円以下の中小企業が設備投資を行う際に適用される税制優遇措置。
生産性の向上や経営の強化を目的として導入する一定の設備(機械装置、工具、器具備品、建物附属設備など)を対象に、設備投資が「生産性向上設備」や「収益力強化設備」として認定されること、一定の生産性向上や経営強化を達成するための設備投資であることが求められます。
即時償却(対象設備の取得価額の全額をその年の損金に算入)または7%または10%の税額控除が可能です。

・ 中小企業投資促進税制
資本金が1億円以下の中小企業が特定の設備投資を行った場合に適用される税制優遇措置。
機械装置(取得価額 160万円以上)、工具、器具及び備品(取得価額 30万円以上)、建物附属設備(取得価額 60万円以上)で、設備が「生産性の向上」または「環境対策」に資するものであることが求められます。
即時償却(対象設備の取得価額の全額をその年の損金に算入)または7%または10%の税額控除が可能です。10%は資本金3,000万円以下の場合です。

少額減価償却資産の特例の適用

取得価額が30万円未満の資産については、全額をその年の損金に算入でき、税務上の手続きが簡素化されます。

中小企業向け研究開発税制の適用

資本金が1億円以下の中小企業が研究開発活動を行う際に適用される税制優遇措置。
企業が支出した研究開発費のうち、試験研究費が対象となります。これには、製品や技術の開発、実用化試験などに関連する費用が含まれます。

中小企業の場合、研究開発費の増加額に対して12%の税額控除が適用されます。増加額ではなく研究開発費の総額に基づく控除を選択する場合でも、8%の税額控除を受けることが可能です。
増加額に対する控除に加え、企業全体の試験研究費が一定の基準を超える場合には、さらに上乗せで控除率が適用されることがあります。

中小企業向け賃上げ促進税制の適用

資本金1億円以下の中小企業が対象。
前年度と比べて給与等支給総額が一定の割合以上増加した場合、その増加額に応じて税額控除が認められます。
基本的な控除率は15%ですが、教育訓練費が一定の割合で増加している場合、さらに控除率が上乗せされることがあります。

所得拡大促進税制の適用

資本金が1億円以下の中小企業が対象。
企業が従業員の給与を増加させた場合、その増加額に応じて法人税の税額控除を受けることができる制度です。
一定の基準年(通常は前年度)と比較して、給与等支給総額が増加していることが、雇用者全体に対して給与が増加していることが要件。
給与増加額の最大25%(中小企業の場合)が税額控除の対象となります。

各種申告義務の軽減

資本金が1億円以上の企業には、法人税申告書における「中間申告義務」や「事業概況説明書の提出」などが追加的に求められる場合があります。
これらの手続きにかかるコストや手間を削減するため、資本金を抑えることで、これらの義務を軽減できます。

資本取引に関する税務計算の簡素化

資本金が大きい場合、増資や減資に伴う税務計算が複雑になります。
資本金を少額に抑えることで、これらの手続きが簡素化されるため、税務上のリスクを低減することが可能です。

ChatGPT先生いわく、こんなところですね←

IR当日にしてはよく書きました。

ふくろう
ふくろう

外形課税とかはかなり調べましたよ!

まとめ

2024/8/22のクラダシの開示「資本金の額の減少及び剰余金の処分に関するお知らせ」をきっかけに、資本金を減らすことのメリットを調べてみました。

主な目的は「2024年6月末時点で生じている繰越利益剰余金の欠損(189,120,328円)を解消し、資本構成の是正と将来の資本政策の柔軟性を確保する」という文言の通りだと思いますが、副次的な効果として納税額が減ったりするのは面白いですね。

なお「資本政策の柔軟性を確保する」の意味はよく分かりませんでした。

本当の意図は、この記事とは全然違うところにあるかもしれません。

クラダシのファン株主としては、今後の業績拡大と発展が楽しみです。将来、「あ~資本金減少はこういう意味だったのね!」と分かる日が来ると面白いですね←たぶん来ない

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