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クラダシ、日本郵便と資本業務提携──全国ネットワークを活かし成長加速へ

※この記事にはプロモーションが含まれています

2025年8月4日、クラダシ(東証グロース:5884)は日本郵便株式会社との資本業務提携契約を発表しました。
これは単なる「業務提携」ではなく、日本郵便が株主としてクラダシに参画する「資本業務提携」です。
日本郵便が第三者割当増資を引き受ける形でクラダシに出資し、両社は物流・販路・商品開発など幅広い領域で協力していくことになります。

今回の発表は、クラダシの株主やファンにとってまさにビッグニュースです。

なぜなら、クラダシの成長戦略において「販路拡大」「物流効率化」「ブランド力強化」の3つを一度に押し上げるからです。

ふくろう
ふくろう

本記事では、クラダシと日本郵便の資本業務提携について、株主目線で解説します。

クラダシは、日本郵便との資本業務提携によりステージが変わりました。
日本郵便との資本業務提携前のクラダシ考察は、以下の記事をご参照ください。

今回の発表内容のソース

2025/8/4の15時に有価証券届出書が公開され、同日ストップ高になりました。適時開示では15時半の発表。
ストップ高前に買えるのは、EDINETでF5を連打していた方だけでしょうか。私も気付いた頃には既にストップ高気配でした。兼業投資家には飛び付き買いは難しいですね。

資本業務提携の概要

今回の提携は、単に「業務で協力する」だけではなく、日本郵便が株主としてクラダシに参画する形を取っています。
具体的には、日本郵便がクラダシの第三者割当増資を引き受ける方式です。既存株主から株を買い取るのではなく、新たに発行される株を取得するため、調達した資金は全額クラダシの手元に入ります

出資比率と払込額

公表資料によると、日本郵便は今回の増資で発行済株式の約10%(議決権ベース)を取得予定です。
払込期日は2025年8月20日で、払込金額は約5.13億円
(1株あたり423円)とされています。
発行価額は直近の市場株価を根拠に設定されており、日本郵便が中長期的なリターンを見込んでいることが予想されます。

クラダシが調達する資金は、
払込金額の総額:513,479,700円
から、発行諸費用の概算額:25,674,000円を引いた、
差引手取概算額:487,805,700円です。

今回の第三者割当増資による希薄化は、約11.14%です。

希薄化を上回るメリットがあると評価され、株価は大幅に上昇しました。

調達資金の使途

クラダシは、この資金を「提携事業の推進を含むフード削減事業の拡大及び成長投資」に用いるとし、支出予定時期は2025年8月~2028年6月です。

以下、日本郵便株式会社との資本業務提携契約の締結、第三者割当による新株式の発行及び主要株主の異動に関するお知らせから引用。

  1. フードロス商品の販売拡大
    日本郵便が有する販売チャネル(EC・カタログ・郵便局店舗等)におけるフードロス商品の販路拡大を目的とし、フードロス商品の認知向上及び販売促進のための広告宣伝費・キャンペーン費用、並びに商品仕入資金等として充当します。これにより、郵便局の広範な顧客接点を活用した販路の多様化及び非デジタル層を含む新規顧客層へのリーチ強化を目指します。
  2. 新規共同サービスの開発・推進
    日本郵便との共同ブランドによる冷凍弁当事業の商品企画・製造・サービス開発に関する費用、並びに郵便局ブランドでの健康志向商品の展開、郵便局限定商品等の商品開発・販促費に充当します。加えて、サブスクリプションサービスや郵便局店頭での申込導線整備、プロモーション施策等、新規顧客獲得に向けた取り組みを含めたスケール化のための初期投資を行います。
  3. 物流・ロジスティクス分野での協業推進
    当社事業である「EC Kuradashi」で取り扱う商品の物流機能を、日本郵便の物流ネットワーク(ゆうパック等)及び提携倉庫へ移管するための、物流システム調整費用、在庫情報連携機能、返品対応体制の整備費用等に充当します。これにより、顧客への安定的かつ高品質な配送・保管体制を確保するとともに、物流コストの最適化と業務効率の向上を図ってまいります。
  4. フードロス商品の供給
    当社事業である「EC Kuradashi」では、取扱商品の特性上、特定の商品の安定供給を受けることは困難ですが、日本郵便がパートナーとなり、同社の取扱商品のうちフードロス商品を当社が取り扱うための仕入資金等として充当します。これにより、新たなフードロス商品の供給源を獲得し、市場に再流通させることにより、フードロス削減の最大化を目指してまいります。

これらはいずれも既存事業の延長線上にあるが、規模とスピードを一気に拡大するための投資という位置づけです。単発的な設備投資ではなく、持続的に売上を押し上げるための布石と言えます。

なぜ「資本提携+業務提携」なのか

今回のような「資本業務提携」は、単なる業務提携に比べて関係が長期化しやすく、互いにリスクを共有する形になります。
特にクラダシのように規模拡大フェーズにある企業にとって、日本郵便のような大手が資本参加することは、販路拡大・物流機能拡充・新規取引先獲得・新規事業進出の手掛かり・信用力の向上・銀行融資の条件改善といった副次効果も期待できます。

一方で、日本郵便側にとっても、EC分野・食品ロス削減・B2Bマッチングといった成長市場への足掛かりになるメリットがあります。郵便局ネットワークの新たな収益源確保という文脈でも、この出資は意味があります。

事業提携の概要

クラダシ側の資料による、日本郵便との主な事業提携概要は以下の通りです。

1. ソーシャルグッドな「⾷」の提供

ECサイト等にてクラダシ商品を掲載
・郵便局ネットワークと連携し、ECサイトでフードロス削減を推進
・⾼齢者向けに「フードロス削減」の啓発を盛り込んだ特集ページを展開

日本郵便側のプレスリリースでは、以下のように解説されています。

クラダシが取り扱う賞味期限切迫や過剰在庫、パッケージ変更などにより通常の流通機会を失った商品を、日本郵便が展開する ECサイト、一部の郵便局店舗、タブレット端末などを通じて全国の生活者に提供します。郵便局の信頼性と地域密着性を活かすことで、これまでフードロス削減商品に触れる機会が少なかった層にも幅広く訴求し、フードロス削減と「お得」な購買体験を両立させ、社会貢献を身近なものとして推進します。

クラダシ側の資料では、郵便局のネットショップに「フードロス削減コーナーを常設」との記載もありました。

2. 冷凍宅⾷サービスの開発

郵便局ネットワークを活⽤し、冷凍宅⾷サービスの開始
・⾼齢化社会の進展、単⾝‧共働き世帯の増加に対応
・「健康に配慮したお弁当」をお届けするサービスを通じた健康⽀援

日本郵便側のプレスリリースでは、以下のように解説されています。

日本郵便とクラダシは、共同で冷凍宅食サービスを開し、健康志向や時短ニーズに応える新たな食の選択肢の提供を目指します。クラダシの栄養管理ノウハウや制限食メニューの開発力と、郵便局ネットワークを掛け合わせることにより、信頼性と利便性を両立したサービスの実現を目指します。

元々クラダシは、2024年6月に冷凍宅配弁当の「つるかめキッチン」を買収し完全子会社化して事業に進出しました。

今回の日本郵便との資本業務提携により、クラダシと日本郵便との連携による新たな宅食専用ECサイトが構築され、また郵便局でのプロモーションや郵便局でのサブスク入会申込も行えるようになるとのことです。

3. 物流‧ロジスティクス分野での協業

⽇本郵便の物流インフラを活⽤
・⽇本郵便のインフラの活⽤によるコストメリットと配送品質の向上
・新規地域での配送ネットワーク構築による効率的物流網構築

4. 新しい社会価値の提⽰

フードロス削減のための商品拡充
・⽇本郵便のネットワークを活⽤した、フードロス商品調達

5. 継続的な協議・検討

以上の他にも、企業価値向上に貢献する戦略的な提携について、両社で継続的に協議・検討してまいります。
→ この文言は嬉しいですね。どんどん協業を増やしていってほしいです。

クラダシ×日本郵便のシナジー効果

クラダシから日本郵便へ
・フードロス削減商品・日用食品・冷凍弁当などの「商品」
・フードロス削減、BtoBのECマーケティング、倉庫運営・需要予測、寄付プログラムの「ノウハウ」
・NB(ナショナル・ブランド)中心のパートナー企業との「つながり」

日本郵便からクラダシへ
・郵便局の信頼性・知名度・顧客
・全国の物流センター・物流ネットワーク、地域拠点(郵便局)、店頭におけるカタログ販売
・地方の食品メーカー・農家、地方自治体との「つながり」

それぞれの領域で、クラダシの強みと日本郵便の資産を組み合わせ、相互補完する形です。

以下、クラダシ側のメリットについて考察します。

ECサイト「Kuradashi」の拡充(郵便局チャネルの活用)

郵便局は全国24,000局以上、すべての市区町村に存在するリアル拠点であり、年間の延べ来局人数は約2.5億人に達します。

クラダシは会員数が59万人以上ですがまだまだ「誰でも知っているECサイト」ではありません。郵便局のECサイトにKuradashiが常設になることにより、相当の宣伝効果が期待できます。

郵便局での実地プロモーションにより、これまでリーチしづらかった高齢層へのアクセスも容易になります。知名度は一気に広がるでしょう。

期待できる効果は以下の通りです(一部妄想コミ)。

  • ECサイトを使わない層へのカタログ・店頭販売
  • 「ネット注文+郵便局受取」の利便性訴求による新規会員獲得
  • 店頭掲示や窓口での直接案内による信頼感向上

郵便局でのプロモーションにより、クラダシの顧客基盤はぐっと広がる可能性があります。

物流コスト削減による利益率の改善

クラダシは食品ロス品を取り扱うため、単価が低い割に配送コストが高止まりしやすい構造的課題があります。
現状、物流コストは売上原価の中で相当な比率を占めており、配送単価が数%下がるだけでも営業利益率に直結します。

日本郵便との連携で期待できる改善ポイントは以下の通りです(一部妄想コミ)。

  • 地方発→都市部向けの送料引き下げ(全国契約レートの適用)
  • 集荷拠点の増設による配送ルート最適化
  • 複数メーカー商品を1梱包でまとめる「共同配送」の実現
  • クール・冷凍便の取り扱い効率化

仮に物流コストが5%改善すれば、その分営業利益率が押し上げられる計算になります。低利益率事業のクラダシにとって、これはインパクトが大きいです。

直近でヤマト運輸は法人向け配送の値上げを発表し、クラダシのようなEC事業や3PL事業者には厳しいニュースでした。ちょうどよいタイミングで日本郵便との業務提携があり、難を逃れたという感じです。

利用者にとっても、送料がネックになっていますからね。

以上はKuradashiの買取型を想定していますが、最近のKuradashiではプラットフォーム型も拡大してきています。
・買取型:クラダシがロス商品を買い取り自社買取倉庫に保存し、売れたらクラダシが発送。
・プラットフォーム型:食品会社がKuradashiに掲載し、売れたら食品会社が発送。

プラットフォーム型においても、日本郵便とのシナジーを生かせるのでしょうか。
この部分は現段階では公開されていません。Kuradashiのプラットフォーム型において、日本郵便との連携がどのようにプラスになるのか(ならないのか)、これはいずれIRに確認します。

Kuradashi・Green Tableの仕入れ拡充

日本郵政グループは公共性が高く、社会的信頼性のある企業です。「日本郵便との資本業務提携している」という事実それ自体が、クラダシの信用力を引き上げます
この信用力強化のメリットは、顧客よりもむしろ食品会社との繋がりにおいて強力だと思われます。

クラダシの強みである食品会社との繋がり(現在2,000社以上)は、同業他社には真似できないもので、価値がある無形資産です。

メイン事業であるKuradashiだけでなく、フードビジネスカンパニーブランド事業部部長・平岡裕司氏が「数年以内にEC事業と肩を並べられる売り上げ規模にまで成長させていきたい狙い」と語るGREEN TABLE事業でも、食品会社との繋がりがキーになります。

※ GREEN TABLE
フードサプライチェーンの上流で発生する「かくれフードロス」の課題を解決し、さらなるフードロス削減を推進するため、未利用素材を活用した商品の開発・販売を行うプロジェクト。
例)材料段階で廃棄される日本酒の酒粕、ワインの澱を使ったお菓子の販売。

日本郵便の持つブランド力、法人・自治体ネットワークは、クラダシのブランド力向上と法人・自治体ネットワークの向上に直結します。

新規のB2B・B2G契約が結びやすくなる

クラダシはこれまでも、食品メーカー、小売、外食チェーン、自治体などと取引を行ってきましたが、特に大手企業や自治体との契約には信用力と営業リーチが重要です。
今回の日本郵便との資本業務提携は、この2つを一度に強化する効果があります。

信用力の向上が契約ハードルを下げる
B2B・B2Gの契約では、単に価格やサービス内容だけでなく、取引先の経営基盤の安定性・社会的信用が重視されます。
大手メーカーや小売チェーンでは、取引先審査において財務体質や株主構成をチェックするのが一般的です。また自治体や公共機関は、入札や契約の条件として、実績・信用・安定性を求めます。
今回、日本郵政グループが株主として加わったことで、クラダシは「公共性の高い企業が資本参加している」企業として認知されます。
これは、特に公共系・大手企業の新規契約で強い武器になります。

日本郵便の営業網によるアプローチ機会の増加
日本郵便は全国の法人・自治体に既存の取引関係を持っています。
・全国の地方自治体(防災・郵便業務・地域振興)
・企業(郵便・物流・広告・DM発送などのサービス利用)
・公共施設・学校・病院など(郵便局経由での取引)
このネットワークにクラダシのサービスや商材を組み合わせることで、日本郵便の営業担当者が既存顧客に対してクラダシを紹介できる状態になります。
つまり、クラダシがゼロからアプローチするのではなく、信頼関係がある取引先への「クロスセル」が可能になります。

ESG・SDGsの文脈での契約チャンス増
近年、B2B・B2G取引ではESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs目標への貢献が重要な評価軸になっています。
食品ロス削減はSDGsのターゲット12.3(2030年までに世界全体の食料廃棄量を半減)に直結しており、企業や自治体が社会的責任を果たすための具体的施策になり得ます。
・企業はCSR報告書や統合報告書に事例として掲載可能
・自治体は食品ロス削減条例や地域活性化施策の一環として活用可能
日本郵便という社会的意義の強い企業と組むことで、これらの施策に説得力が増し、契約成立率が高まります。

大口案件の受注可能性
B2B・B2GはB2Cに比べて契約単価が大きいのが特徴です。
例えば、
・自治体による災害備蓄品の入れ替え
・大手小売チェーンの在庫一括処理
・企業の福利厚生・従業員向け特別販売
こうした案件は1契約あたり数百万円~数千万円規模になることも珍しくありません。
日本郵便の信用力とネットワークがあれば、こうした大型案件にもアクセスできる可能性が高まります。

こうして見ると、「新規のB2B・B2G契約が結びやすくなる」というのは、単なる営業機会の増加ではなく、信用力向上 × 営業網拡大 × 社会的意義の明確化によって、大型で長期的な収益源を取り込みやすくなるという意味を持っています。

つるかめキッチンの飛躍

2024年6月に買収した「つるかめキッチン」は、日本郵便との提携で一気に飛躍します。

元々の買収自体もよかったんですよ。
特に成長しないでも、同じ利益を得られていれば十分にお買い得でした。

営業利益が7,000万円ある会社を、4.86億円で買えています。
2025/2/13の半期報告書によると、発生したのれんの額は5.39億円。10年間にわたる均等償却なので、買収後10年は5,390万円ずつ営業利益から引かれ、EBITDAは7,000万円増加が見込まれるものの、営業利益の貢献は10年はあまりないものと思われていました。

億ふく
億ふく

それが、日本郵便が全面バックアップになると!

すごいですよね。
これはクラダシの社外にいる全株主が予想できなかったですよ。

「宅食専用ECサイト」と記載があることや新規ECの立ち上げと書いてあるので、おそらくは「つるかめキッチン」という名前のブランドではなく、新たな郵便局的な要素が入るブランド名にするんですかね。楽しみです。

私も株主としてつるかめキッチンを試しましたが、健康食なのにnoshの普通食よりうまかったです。ほんとに。十分勝負できて、NO.1を狙えるはず。
そこに日本郵便のプロモーション力、ブランド力が付いたら、ほんとにNO.1になっちゃうんじゃないの!?

と思ったりしています。

宅配弁当事業においては、
・郵便局との共同ECサイトでの認知力up
・郵便局でのプロモーションでの認知力up
・郵便局での定期サブスク申込(←やるって書いてあった)
・物流統合
により、まさにつるかめキッチンは飛躍します。

願わくば、健康食に留まらず、一般食にも進出してほしい!と思います。

金融機関からの融資条件が有利になる

ポイントは「資本(株主の質)×事業の確度×ESG適合性」が銀行の内格付けを押し上げること。結果として、金利・枠・期間・条項の4点で効くと思われます。

なぜ条件が良くなるのか(銀行の見方)

  • 株主の質の上昇=信用補強
    日本郵政グループが資本参加すると、銀行の“スポンサー評価”が上がりやすい。倒産可能性(PD)や回収可能性(LGD)の想定が改善し、内部格付けが1ノッチ良化するだけでもスプレッド(上乗せ金利)が下がる余地。
  • 実行確度の高い成長計画
    物流・販路を“自前で作る”のではなく“既存大手の資産を借りる”設計は実現可能性が高い。銀行は計画の達成確度=信用として評価。
  • ESG/社会的意義
    食品ロス削減はど真ん中のESGテーマ。サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)の対象になりやすく、KPI達成で金利を下げる条項が付くことも

具体的に良くなる条件

  • 金利:上乗せスプレッドの縮小。保証料や担保要求の軽減で実効金利がさらに低下するケースも。
  • 枠(限度額)コミットメントラインの新規設定・増額。シングルバンクからシンジケートローンへ拡張もしやすい。
  • 期間(テナー):運転資金でも1→3年など長めに。リファイナンス頻度が下がり資金繰りが安定。
  • 条項(コベナンツ):財務制限条項の閾値緩和(例:純有利子負債/EBITDAや自己資本比率の基準)、早期返済条項の条件緩和など。

調達メニューの幅が広がる可能性

  • ABL(動産/売掛債権担保融資):在庫・売掛を担保に低コスト運転資金。物流・在庫管理の可視化が進むと査定が有利に。
  • サプライチェーン・ファイナンス(SCF):仕入先に対する支払サイト延伸×取引先の早期資金化を両立。資金繰り効率(CCC)改善。
  • SLL/サステナ系ボンドの検討余地:KPI例は食品廃棄削減量、回収・再流通量、CO₂削減など。達成で金利リベート。

補足:
日本郵政≒ゆうちょ銀行から直接借りられる、ではありません(ゆうちょ銀行は日本郵便とは別法人で、一般的な法人融資プレイヤーではない)。間接効果として“他行の審査が通りやすくなる/条件が緩む”のが本筋です。

事業オペへの波及(地味だが効く)

  • 前受金・敷金保証の軽減:信用力上昇で前払要求が緩む→運転資金圧縮。
  • 与信枠拡大:仕入先・プラットフォーマーからの与信条件改善で掛け取引が拡張
  • 決済費用の低減:決済代行のレート交渉力UP→販管費の実質削減

投資家が数字で確認できるシグナル

次の決算短信・有報・補足資料で、以下をチェックすると効用が可視化できます。

  • 平均借入金利の推移:注記やIR説明で平均金利が何bp下がったか。
  • コミットメントラインの新設/増額:枠の規模、参加金融機関数。
  • 借入期間の延伸:期末の短期/長期の構成比。
  • コベナンツの内容:財務制限条項の有無・閾値の文言(注記orIR説明会Q&A)。
  • SLLの締結有無:KPIの設定と、達成時の金利優遇幅。
  • 運転資本の効率:在庫回転日数・売掛回転日数・買掛回転日数(CCC)の改善傾向。

リスク/前提条件(現実的な注意点)

  • “口だけシナジー”は評価されない:配送コスト実績、KPI達成率、B2B案件の契約金額などハードデータが出て初めて金利は下がる。
  • 金利環境の外部要因:マクロ金利は不可避。上昇局面でも、スプレッド縮小と条項緩和で実効条件を相殺できるかが肝。
  • 依存度の管理:特定パートナー依存が過度になると、銀行は逆にコベナンツを厳しくすることも。複線化/冗長性の説明が重要。

採用活動やパートナー提携でプラス評価を受けやすい

ブランド信頼性の「借り入れ効果」
日本郵政グループは公共性が高く、全国規模で信頼されている企業です。
クラダシがその資本を受け入れることで、「この企業は大手の厳しい審査を通った」という暗黙の信用バッジを得ることになります。
このブランド信頼性の借り入れ効果は、採用や提携の場面で心理的ハードルを下げます。

採用活動での効果
成長フェーズの企業は、優秀な人材の確保が業績に直結しますが、まだ知名度が低かったり、安定性への不安から応募が集まりにくい課題があります。

  • 安定性の訴求
    「日本郵便が株主」という事実は、資金調達面や経営の安定性を求職者に示せます。
  • 社会的意義の共感採用
    食品ロス削減というミッションに加え、日本郵便との連携による社会貢献色が強まることで、ミッションドリブン型の人材が集まりやすくなります。
  • 管理職・専門職の採用難易度低下
    大企業出身者や経験豊富な専門職は、「信用力のある会社」でなければ応募をためらう傾向がありますが、この障壁が下がります。

結果として、応募母数の増加と質の向上が見込めます。

パートナー提携での効果
B2Bや業務委託のパートナー選定では、信用・安定性・事業継続性が重要な基準になります。

  • 取引開始の意思決定が早くなる
    パートナー企業の経営陣や法務部が、「日本郵便が株主」という事実だけで一定の安心感を持ち、契約までのスピードが上がることがあります。
  • 取引条件が有利になる
    信用力の向上により、前払い条件が緩和されたり、長期契約が結ばれやすくなります。
  • 共同プロジェクトの立ち上げやすさ
    社会的信用のある企業との共同事業は、行政や他社への説明もしやすく、広報面でもプラスに働きます。

ESG・社会貢献の強化で共感度アップ
採用も提携も、近年はESGや社会貢献への姿勢が評価基準に組み込まれています。
食品ロス削減+日本郵便との連携は、ESGやSDGs施策を意識する企業・人材に刺さるテーマです。

投資家目線での意味
採用力・提携力の強化は、単なる人的・業務資源の確保留まりません。

  • 採用難で計画が遅れるリスクの低減
  • パートナー不足による事業停滞の防止
  • 高付加価値案件や大型案件の受注率向上

これらは中長期の成長の再現性を高め、投資判断における「成長計画の実現確度」を押し上げます。

クラダシ×日本郵便による今後の展開の妄想

ふくろう
ふくろう

以下の文章は私の妄想です。

マーケティング・会員拡大系

郵便局ECサイトでのKuradashiとつるかめキッチンの拡充、郵便局でのプロモーション、サブスク窓口化は既に明言されています。
その他に行われそうなことを書きました。

  • 郵便局窓口で新規会員登録キャンペーン(粗品プレゼント)
  • 郵便物に同封されるチラシやDMでクラダシ割引コード配布
  • ゆうちょPayと連携したポイント還元キャンペーン
  • 高齢者見守りサービスと連動した食材配達

物流・サプライチェーン系

  • 日本郵便の倉庫を利用している企業群に、フードロスになりそうな商品のKuradashi出品を誘導。
    → これはかなり現実的だと思われる。
  • クラダシが得意とする三温帯管理の3PL事業も請け負えれば激アツ。
    → ただしこれは日本郵便が既にやっていそうなのでここまでは取れなそう。

郵便局ネットワークを活用した地域循環型フードロス削減事業

郵便局を拠点に、家庭や地域商店の余剰食品を集めて地域内で再分配する「小さなクラダシ」網を全国に張り巡らせる。郵便局員さんが地域の食品循環のキーマンになる未来。

家庭内フードロス削減

  • 郵便局を回収拠点化
    家庭で余っている保存食や未開封食品を郵便局で受け付け(賞味期限や状態の基準を設定)。
  • 地域内の再分配
    集まった食品を近隣の福祉施設、子ども食堂、高齢者世帯に再分配。
  • クラダシECで再流通
    条件を満たす商品はクラダシで販売し、売上の一部を地域活動へ還元。

小規模商店のフードロス削減

  • 小規模商店からの余剰品回収
    個人商店・道の駅・市場などが出す規格外品や売れ残りを郵便局員が集荷ルートで回収。
  • 郵便局での販売コーナー
    地域内郵便局の一角で「今日の掘り出し物」コーナーとして販売。
  • 即日配送+地域消費
    地域内の購入者に当日配送(郵便局配送網利用)で鮮度保持。

付加価値ポイント

  • 郵便局は全国一律の回収・配送インフラを持っているため、都市部~過疎地まで対応可能。
  • 「家庭の食品寄付」や「商店の余剰品活用」は、SDGsターゲット12.3直結で行政も巻き込みやすい。
  • クラダシにとっては、既存ECとは別の地域密着型B2G/B2Bモデルが生まれる。
  • 地域で回るため輸送距離が短く、CO₂削減にも寄与 → ESG評価も上がる。

BtoBの拡充

クラダシ×日本郵便のブランド力強化により、Kuradashi・GREEN TABLE事業のパートナー企業が増加することは見込まれます。
ここでは、一般的な仕入れ先である食品メーカー以外の可能性を書きました。

  • 学校・病院・福祉施設など公共施設向け案件の受注拡大
  • 地域特産品の共同ブランド立ち上げ
  • 地域産品や規格外品のB2B販売ルート構築
  • 農水産業との直接取引マッチング

日本郵便×自治体の基盤を生かしてふるさと納税事業に進出

郵便局窓口でふるさと納税の申込みをすると、返礼品は地域の余剰品やアップサイクル商品。寄附者はおいしい、自治体は助かる、環境にもやさしい――そんな三方よしの仕組み(これは私の妄想です)。

  • 郵便局ネットワーク+自治体連携+クラダシEC基盤を活用し、食品ロス削減型ふるさと納税プラットフォームを構築。
  • 「寄附→返礼品が食品ロス削減商品」という新ジャンルを作り、社会貢献性を前面に押し出す。
    → ポイント還元祭は2025年9月で終了。ポイント以外の価値を押し出すにはよい時期。

実現の仕組み

  1. 自治体連携
    日本郵便がすでに取引や業務受託をしている全国自治体へ営業。クラダシとの共同企画として提案。
  2. 返礼品の調達
    • 地域の規格外品や余剰在庫を返礼品化
    • GREEN TABLE商品のようなアップサイクル品も採用
  3. 申込チャネル
    • 郵便局窓口・カタログ・ECサイト(郵便局ネットショップ内)
  4. 配送
    • ゆうパック利用で全国配送
    • 冷蔵・冷凍にも対応

メリット

  • 自治体:食品ロス削減と地域振興を同時に実現、CSRやSDGs施策としてアピール可能
  • 寄附者:寄附金が社会課題解決に直結することが明確で、共感を得やすい
  • クラダシ:B2CとB2G両方の販路拡大、新規顧客獲得
  • 日本郵便:ふるさと納税物流の取扱量増加+地域活性の旗振り役としてのブランド強化

妄想キャッチコピー案

  • 「おいしく、やさしく、ふるさとを応援。」
  • 「フードロスを減らすふるさと納税、はじめました。」
  • 「寄附で救う、日本のもったいない。」

「日本一のEC事業者を目指す」とは!?

この図の「日本一のEC事業者を目指す」が気になりますよね。

本当に気になります。
文字通りに受け取ると、楽天市場やYahoo!ショッピングを超えるEC事業者を目指すってコト!?!?

そんなの無理に決まってるじゃーん!
いやいや、でも日本郵便さんが本気を出せばもしかして!?

うーん。これについては全然分からないです。
これは株主総会で真意を聞いてみますかね。

株主目線でのメリット・デメリット

今回の日本郵便との資本業務提携は、長期保有株主にとって非常に注目度の高い材料です。
しかし、すべてがプラス要因というわけではなく、短期的な負担や不確実性も存在します。ここでは両面を整理します。

メリット

成長スピードの加速
クラダシ単独では数年かかる規模拡大を、日本郵便の全国ネットワークを活用することで一気に短期間で実現できる可能性があります。
時間短縮は競争優位の確立に直結します。

営業利益率の改善
物流コストの削減や配送効率の向上は、利益率改善に直結します。
食品ロス品は単価が低く、配送コストの影響が大きいため、ここが改善されれば利益構造そのものが底上げされます。

顧客基盤の拡大
郵便局チャネルを通じて、顧客層が全国の隅々まで広がります。
特に高齢層・地方在住者といった、これまでリーチしづらかった層を新規獲得できます。

ブランド価値の向上
公共性の高い日本郵政グループとの提携は、クラダシの信頼性を高めます。
B2B/B2G契約、金融機関からの信用、採用活動などにも好影響が期待されます。

新規事業の創出可能性
地域活性化、防災、農水産業支援など、既存事業と親和性の高い新たな収益源が生まれる可能性があります。

リスク・留意点

今回の資本業務提携に関して長期的なデメリットやリスクはほぼなしと思いますが、一応、留意すべきことを挙げておきます。

短期的なコスト増
提携効果を出すためには、システム改修・物流拠点整備・人員増強などの初期投資が必要で、これらは短期的には利益を圧迫します。
個人的には、即時償却しなければ営業利益の圧迫は軽微と思っています。

効果の顕在化まである程度の時間が掛かる
新しい物流フローや販売チャネルの立ち上げには検証期間が必要で、業績への反映は即時ではない可能性が高いです。
短期の株価反応だけを狙う投資家にとっては、じれったい展開になるかもしれません。

業務調整の難しさ
全国規模の大企業同士の連携では、意思決定やオペレーション調整に時間がかかることがあります。現場レベルの調整がスムーズにいかないと、計画通りのスピードで進まないリスクがあります。
ただ、クラダシ側は河村社長の決断はかなり早いので、意思決定の遅さという不安はほとんどありません。

依存性の高まり
物流や販路、特に物流の重要部分を日本郵便に依存することになるため、将来的に条件変更や方針転換があれば影響は大きくなります。

2025.6期-4Q決算が迫る

2025/8/14に、クラダシの2025.6期-4Q決算があります。
2025.6期-4Q決算には日本郵便との連携は全く入らないので、私の予想は従前通りです。

今回の決算で大切なのは、確定した2025.6期-4Qではなく、2026.6期の業績予想です。クラダシは、2025.6期と2026.6期で全然違う会社になっています。

日本郵便との提携前

以下、【クラダシ】2025/6期1Q決算~株式会社L’ATELIER de SHIORIの株式の取得(子会社化)までからの抜粋です。

L’ATELIER de SHIORIの子会社化の話が出る前の会社四季報の2026.6期の業績予想は、売上40億円、営業利益1.5億円でした。ちなみにこの前号では営業利益予想は1億円で、増額されています。
2025/6期の予想営業利益は2,300万円なので、ここで急激に跳ねそうです。

この後にL’ATELIER de SHIORIを子会社化したので、営業利益プラス1億円と考えると、2026.6期の予想営業利益は2.5億円となってもおかしくありません。

EBITDAは、2024/6期の確定業績が5,300万円、2025/6期の予想で1億1,800万円です。
Kuradashi自体の成長、在庫クリアランスの完了、つるかめキッチンのフル寄与(前期は約10か月分)、系統用蓄電池のフル寄与、La Table de SHIORIのいきなりフル寄与を考えると、3.5~4.5億円くらいはありそうです。

とにかく、次回の決算・業績予想発表で、周りから見た景色が一気に変わり、クラダシを知らなかった人からも見られるようになるのかなと思います。

日本郵便との提携後

日本郵便との提携後の売上・利益の飛躍は、正直なところ予想ができません。
クラダシ自体も、なかなか数字を出しにくいと思います。

決算発表時期がちょうど日本郵便と提携が決まったもののこれから…という時期なので、日本郵便とのシナジーを織り込んだ数字は出しにくいのではないでしょうか。

ある程度織り込んで高い業績予想を出してくるのもよし。
全く織り込まずに「日本郵便との提携によるシナジー効果は現段階で数字を予想できないので、本業績予想には織り込んでいません」と明記するなら全然OKです。

ふくろう
ふくろう

シナジーを織り込んでない予想を出すのに、「シナジーを織り込んでない」と書かないのは、絶対にやめてよね(;^ω^)

株主目線での所感

今回の資本業務提携は、クラダシにとって成長の質とスピードを同時に引き上げる可能性を持つ戦略的提携です。クラダシ単独では時間をかけて積み上げるしかなかった販路・物流・営業基盤を、日本郵便という巨大プレイヤーの資産で一気に獲得できる。
この「時間短縮効果」は、成長株投資の世界で非常に重要な要素です。

短期的には株式の約11%の希薄化がありますが、中長期での企業価値向上に期待できる材料であり、「会社の成長を待てる株主」にとっては特大のポジティブ材料として評価すべき出来事と言えるでしょう。

想像以上のビッグ・ニュースでした。

今後もクラダシの成長を見届けつつ、含み益が大きくなるのを見てにやにやします(*´ω`*)

ふくろう
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